rods

スティールヘッドのフライフィッシングではキャスティングとドリフトがKEYになる。

トラウトフィッシングとの違いは、キャスティングではある程度ラインが伸ばせるようにならないといけないということ。浮くラインでも沈むラインでも、である。

ライズを狙って構えることがないとは言わないけれど、まずほとんどの時間はサーチになる。千回のキャスティングで1匹。アトランティックサーモンの釣人からは1万回のキャストで1匹だという言葉もあった。10メートルのキャスティングよりは15メートルのキャスティングのほうがカバレッジに大きな差を生むのは良く分かると思う。

完璧にではなくても、スーパーロングキャストでないにしても、フライフィッシンをもっとも表現するこの技術をリズム良く達成できるロッドでなければ釣りは成立しない。

もう一つ。ドリフトしている時間はトラウトフィッシングよりとても長い時間になると思う。何気ないけれどこれは顕著な違いの一つと思う。

3年間の想像研究とバーチャル世界の情報、そこに3回の実際の旅の経験を合わせて紡いで、スティールヘッドを釣るための二つのKEYを基にして、バンブーロッドについて幾つか繰り返しも含めてここで記してみたい。

 

Steelhead Edwards Quadrate Bamboo Rod

まず初めのカギ、フライキャスティングについて。

竿は軽くする。あるいはこう言ってもいい。竿の振り心地はできるだけ軽快なものにする。そのため繋ぎが少ない2ピース。ブランク自体を軽くするホロービルド。振り心地に決定的な違いをもたらすロッド・レングス(8フィート以下の、トラウトでもお馴染み長さに)。

キャスティングに負担を強いず、連日の釣りを楽しむために、軽い振り心地が重要で、ホロービルドよりもショートロッドを選択するほうが効果が高いと思っている。長いロッドがもたらすライン操作の優位やキャスティング飛距離の有利よりも、それによって疲労を与えられることのほうが真っ先に感じるのである。グリースラインテクニックのドリフトは、水を選び、投げる角度に注意を払えばショートロッドで十分達成できるはず。だから9フィートのウィンストンよりも8フィートのエドワーズのほうが使い続けることができたワケ。もちろんバンブーロッド使用の規律を遵守した上で、です。

また、まだコメントするだけの経験を得ていないけれど、軽快感をもたらすためにリールによってバランスをとるという方法もある。リールを取り付けてグリップ近くにバランスの重心がくるようにするという、かつてのフライフィッシング入門本に出ていたあれが必要だ。エドワーズはハーディのゼニスでそのバランスが完璧だった。ウィンストンでそれを行おうとすると、フィンノア#2が必要になる。ただし、フィンノアにはスティールヘッド・フィッシングの要の要素の一つ、逆転音がない。

 

次にドリフトについて。

スティールヘッドの釣りではドリフトしている時間が本当に長い。竿を振り上げている時間はトラウトの釣りよりも短いかもしれないが、フライを流して竿を握っている時間はかなりのものである。そうなると穂先がお辞儀するようなバランス、グラファイトロッド市場の中で生まれた超軽量を謳うリールだとドリフトの間中握力が要求され、知らず知らずいつも竿をシッカリ握ってしまうことになる。この疲労はけっこうなものである。だからバランスが重要なのだと言い切りたいのだけれど、そうすると竿によっては前述のように逆転音のないリールを使うか、バンブーロッドに似つかわしくない海用の頑強極まりないデザインを選ばなければいけないか、あるいはバンブー全盛時の、スティールヘッドには若干性能に不安を感じる昔のリールを探すことになる。

もう一つ。バンブーロッドで釣りをして、他にも気付いたことがある。

投げる行為は両手で扱うスペイロッドが片手で扱うシングルハンドのフライロッドよりもはるかに疲労が少ないと良く知られているけれど、ドリフトに関しても無駄に疲れないように扱える特性があった。下手側のハンドルである。これがヘッドレストならぬアームレストとして、長い集中したドリフトに貢献しているのだ。

 

Winston Bamboo Rod Steelhead

所有するウィンストンとエドワーズ・クワドレート。ウィンストンにはファイティングバットがないが、エドワーズには5インチのエクステンションバットある。これがアームレストとして効いていることを実際の釣り3日目に感じ始めた。

2012年の旅で実はエドワーズを使う間に一回だけウィンストンを持ち出してみたところ、2、3時間で疲れを感じ、仕舞ってしまっている。1フィートプラスの全長にはまったく違ったリズムが必要で、その適応にもたついた感もあるけれど、それ以上に腕の下に支えがないために、ドリフトの最中、竿を必至に握っている自分に気が付いた。これでは疲れないワケがない。リールとのバランスが悪ければなおさら、である。

エドワーズでの釣りはスペイロッドでの釣りの効果と同じように、このエクステンションバットが支えになり、期待を紡ぐドリフトの時間に、竿は握ると言うよりは軽く指を掛けている感じである。これがとても効いた。

エクステンション効果をもう一つ。とても変則であまり望ましい感じではないとはいえ、これで両手投げを行うこともできるということ。風の日、助けになる。あるいはどうにも疲れてしまったとき、何とか遊べる。無いよりは絶対にあったほうがいい。ウィンストンにはこれができない。

このウィンストン・ロッドに着いているチークのウッドバレルにアルミのアップロックリールシートはゲーリー・ハウェルズのロッドに使われていたパーツと同様で、売り手の話によれば、この竿はハウェルズとモーガンが一部製作にかんだとされるグレン・ブラケット1980年の作品になる。釣人が作ったロッドを思わせるテーパーはキャスティングが楽しく、見事なループを繰り出してくれる。条件さえ許せばこの竿で釣ることにも抵抗はない。だから、このウィンストンにだけ、今まで確認された必須の規律にもう一つ加えておく。絶対に無風の日を選べ。

 

Edwards Quadrate Bamboo Rod Steelhead

バンブーロッドのなかに自然があり、釣師の遺伝子の奥深くがそれを求めるのは、必然なのかもしれない。フライフィッシングをライフワークに続けれる限り、バンブーロッドはいつかは求められるものなのかもしれない。そして、いったん使って得た充実からは逃れられないのかもしれない。

竹という自然素材は釣人の精神を良く表わす。精神状態が良い日も悪い日も、グラファイトの、ことにスペイロッドとなると、STEELHEADINGのカギとなる要素を何とか達成してしまうかもしれないけれど、バンブーロッドにはそれはできない。その辺をよくよく考えたうえで、バンブーロッドで釣りをする日に恵まれ、幸運にも魚を釣ることができたなら、その釣人は間違いなく幸せになれるのじゃないだろうか。