Wolfram Schott 本人から

当ホームページで購入の経緯を紹介し(中段以降にアーティクルを残してます。)、独特の雰囲気をもっているこの竿について知っている方がいればと、連絡を請うこと2年、突然、「私の竿のことのようだけれど、いったいあなたはだれ?」と、ロッドの製作者である本人から連絡が。私のホームページがドイツやアメリカでも検索されるというのは嬉しいこと。そこで所有の竿を問うことに、その返答はもちろん、自身のバックグラウンド、ライフワーク、竿作りの様子等コメントをいただくにいたりました。短い紹介でしたが、今後、所有する喜びはいっそう増してきそうです。

Wolfram Schott Rods

ノルウェーでの仕事が多い鉱物学者であるとのこと。バンブーの全てを知りたく、手に入るあらゆる書籍を研究。1984年から作成開始。はじめはペイン、レナード、ディッカーソンなど著名ビルダーのコピーから入ったが、次第に自分のデザイン、テーパーを見つけ始め、オリジナルにいたる。

製作のアドバイスをもらうためヨーロッパでのバンブーメーカのほぼ全てとコンタクトを取る研究と探求を経て、かつて作るところの竿102本。ほとんどが自分のためだったが、友人などの依頼を受けて作成販売するようにもなっていった。

学者としての職業の傍ら、年3-5本作成。ビジネスとしてプレッシャーの元で作成することは好まず、作ることを楽しむことが自分の竿作りの必須要素。店頭販売なし。インターネットサイトもない。現在販売する際の価格は約1800-2500ユーロ。長さによってというより製作の手間によって価格を決めることがほとんどという。

ノルウェーでのシートラウトとサーモンの釣りを好み、6-8週間をお気に入りの川のそばで過ごす。製作するロッドの種類は多岐にわたっていて6'3" # 3から 14' # 11まで。分け隔てなくフライフィッシング全般を楽しむからこそ、製作ロッドは多種にわたってきた。

左はノルウェーでのシートラウト用のロッドとして製作した9'6"#7。ホロービルド、スローなアクション、でもパワフルであるとのこと。いろいろなフライフィッシングの経験があることはもちろん、その中でもサーモン・シートラウトを好むとなると、私自身の釣りの変遷にダブることがあって、いっそう手持ちの竿が貴重になってくるところです。

現所有の竿について

現所有の竿がどんなデザインのものかは、ここから下段に出てくる画像を参照のこと。そして本人の話による詳しいスペックは・・・

かつてドイツの薬剤師にオーダーされて作成されたもので、所有者が死去したため家族によって手放されたとのこと。約120,000円。本人29本目の作品。テーパー等全てデータ保存されていて補修可能。

スウェルトバット仕様。バットとミドルセクションのみホロービルド。フェルールのメス側は全てチタン製で軽量を図っている。ハンドルの上下にはまっているアンバーカラーのリングはデンマークの海岸で採取した天然琥珀。リールシートは本人がコレクトしているものから選ばれたノルウェジアン・バーチ。竹そのもの、コルクそのもの、そしてガイド以外は全て手作り。

思った以上に手が込んでいる。琥珀のリングがはまったグリップというのはあまり聞いたことがない。カラーリング、グリップフォルムも“他には見ない”ユニーク。参った。購入の経緯は稚拙な衝動だったと思い返すけれど、こうして製作者の心というべきものにわずかでも触れることになって、ますます手が離せない。

実際に購入後いくつかの釣り場で使った結果、“繊細さ”に関しては別の竿に任せたほうがよさそうだけれど、そこは竹竿、グラファイトの反発や硬さはなく、素材の特性は十分生かされた竿に思う。繊細さだけが売りのへなちょことは違う種族で、ラインコントロールに幅があることからもキャスティングの能力が非常に優れている。WFハーディの手ごたえが忘れられないが、この竿は同じではないけれど近い何かを感じないではいられない。そんな竿です。

そこで。どうしてもこの竿でいい鱒が釣りたくなってきます!

(この下にあるページで紹介しつづけていました。よろしければご一読、もしくは再読など・・・)


この竹竿について知っている方、情報ください!

この竿、「Wolfram Schott 」といいます。ネットで検索しても乏しい情報しか手に入りません。ドイツのロッドビルダーのようです。ヨーロッパの竹竿というと、ハーディ、ペゾン、フリース、パートリッジ、ウィルキンスなどを知っていますが、ドイツのとなるとまるで聞き及ぶことがありませんでした。

名前もドイツ語なので、どう読んだらいいのかわかりません。はじめスコット社の誤字かと思ったくらいです。写真のとおり、ワインディングチェックはユニークで、綺麗な仕上がり・・・・

メジャーなレナードやペインもいいのですが、画像についクラッと。名前も何もかもを確かめずに手に入ってしまったのです。

この竿について、このビルダーについて少しでも知っている方がいらっしゃいましたらぜひ情報をください!せっかくなのでもう少し知りたくなったのです。

 

手に入った経緯は・・・

魔が差したというべきでしょう。

私はオークション参加が好きです。古の名器に出くわすことがあり、また、名前だけしかしらなかった容易に観ることもかなわぬ道具を覗けるからです。それがさも買えそうな値段で出ているので、浪費癖がもともとある人間には本当に毒。

昨年末も暇な時間にゆるゆるとページを渡り歩いていると、おや、見知らぬ竿が出品されている。そこには綺麗な絵とともに「1500ドルの価値」、「ボグダンとご一緒に」、と書かれていました。ボグダンを持ちもしないのに、覚えず、入札してしまいました。

もちろんそれは300ドルくらいだったからで、まさか1500ドルのものがこの程度で落ちるわけがないと気軽に入札したわけです。

ところが数日後のある夜半、眠れずに寝床から起き上がってパソコンに向かったところ、まさか、私の手に落ちていました。ドイツから「コングラチュレーション!」とある。・・・・・いくら安いといっても万券数枚、覚悟に一晩要しました。これを断ると今後の取引にも影響があると考えつつ、これをワイフに告白できずに2日が経ち、やっと伝えました。 

「怒らない?」

「言ってごらん」

「怒ってる・・・」

「言いなさい!」

「やっちゃった・・・・」

「また!?」すぐさま察する。

「そう・・・」

「いくらなの!!いいかげんにしなさい!」

「いえない・・・」

「いいから一体いくらなの!」

「18万くらいの価値があるらしいんだけど・・・」

「なにやってんの!10万なの!」

「いやもっと安い・・・」

「8万?6万?4万?」次第に近づいていく。

「4万ちょっと切るんだけど。。。。」

「いいかげんにしなさい!」

「まさかこんな値段で落ちるなんて・・・・」

「つまりそれは全然人気がない証拠でしょう!どうしてそういう価値のないものに無駄使いするの!」

「・・・・・・・」

「また転売に苦労するじゃないの!」おっしゃるとおり。

「そんなのばっかり買い揃えて!壱文の得も生み出さないものばかり買うじゃない!」 

といって金色のリールが3つ飾られているガラスケースの中を指差す。

「リールじゃないよ、竿だよ・・・」

「・・・・・もうあんたにはおこずかい渡しません!」

 

こんな会話の経験ある方もいらっしゃるだろうと思います。でも、この写真の竿をご覧になって多少なりとも興味を抱かきませんか?私は究極のメジャー志向ではないし、レナードやペインに何十万もだすほどのバンブーの本物志向でもありません。かといって裏街道をまっしぐらのマイナー志向でもなく。まさに中途半端の結実となってしまったわけです。

なんだかんだ言っても新しい釣り道具は楽しみなものです。やっぱり待ち遠しかった竿が支払いから3週間を経て、2回の不在票にいらいらさせられつつ、やっと手元に届きました。ナルホド仕上がりは画像のまま。なかなかユニークなデザインで、ワインディングチェックの無骨さがドイツらしいと納得してみたりします。一見して40cmのジャーマンブラウントラウトが横に並ぶべき竿ではないかと想像したりもします。

インスクリプションは素人くさいですが、ラッピングはまあまあです。リールシートの木が何の種類か判別がつかないけれど、ヨーロッパのパイプを思わせる木目です。ここに一切の塗装がかかっていないのは一体どういうことなんだろう。はじめてみる仕上げです。

バット部分は画像では判別がつかなかったスウェルト仕様でなかなかにパワーがありそう。ティップ部分は繊細さは感じられない太さになっていてピンピンしています。手にとった感じでひょっとしてホローじゃないかと思いたくなる軽さです。

早速近所の公園に向かう。指定は#5/6ですが、まずは#6。しかしすぐさま#7でいいのではと感じられる強さです。ひょっとしてスティールヘッドにどうか。やっぱり無理だろうか。

スペックからWFハーディのアクションを期待したりしたのですが、ティップの繊細さの点でこちらが劣る。振り心地はそれほど重くなく、#8/9のグラスロッドを振っているくらいの負担であるから、この点では出番を増やしてゆけそうです。竿自体が重いということはないのですが、パシッとした調子なので#6では竿に乗ってきづらい感じ。なかなかのロングキャストの能力を備えた竿ではないか思います。いくつか触ったレナードの振りやすさはなく、ハーディの一癖二癖ある味ともまた違い、またペゾンのようでもない。下手をするととんでもない駄作とも言われかねない感じだが、よくよく考えてみればこんなものかという気にもなってきます。竹竿に対する私の浅い造詣ではなんとも説明しようがありません。とにかく、これから使ってみることにします。