PREFACE

取り貯めた写真をシャッフルする。思い出を混ぜなおす。そこから1枚を抜き取る。抜き取るカットはどれもあの時あの場所を捉えた贅沢な時間の思い出である。

 

ある年(1996年)、自分の考えているとおりにはうまく行かず、布団にしがみついてむせいだ後、ほとほといやになって、自分のしてきたこと、していることを一切合財を清算したくなり、それで好きなことを徹底的にやろうと思い立った。それが自分の釣りの本当の始まりである。

いやだいやだと思っていてもいざ何か命題が突きつけられると思わす真摯に捉えて行動してみたりする、そんなことが仕事や日常でもあったりする。その愚考とも取れる連鎖を断つために、日本語圏から出て旅をしてみようと27歳にして初めて思ったわけである。初めて海外に出たのもそのとき。

やってみたことは、今思えば誰にでもできる特別ではないことで、何をそんなにいきんで出かけたのかと思い返したりもすれけれど、なぜもっと早くやらなかったのかと、その後は思い返すばかりである。

 

写真をシャッフルしつつ、これからこのコーナーは積み重なっていくかと思う。ここに書き記されるのは万人に対してのものではなく、「これから海外に出て思い切って釣りをしよう」とする個人に語りかけたい。誰にでもできることだからこそ、そこに何かがあるのではないかと思ってみることにして、積み重ねていくうちに、何らかの普遍性を帯びることになればさらにしめたものである。

 

2002/11/2 野口